たまずみものがたり

東京多摩地域に住んでる「たまずみ」がおしゃべりします。認知症のじーさん(父)が施設にいます。

じーさんぽ

我が家の周りは、じーさんにとって未知の世界でかつ認知症のため、

一人で散歩させる訳にはいきません。

 

なので、僕が度々、散歩に連れ出しています。

家から5分位の公園からは、空が澄んでいれば富士山が見えます。

じーさん:「富士山がよう見えるね~(^_^)」

      訳:(富士山が良く見えるね~)

 僕の心:「どうせすぐ忘れるんだろな~」

 

この公園を通って近所を散歩します。

散歩中にじーさんは良くしゃべります。

しゃべると言ってもいつも同じ話ですが(~_~;)

 

じーさん:「ホント、なぁ~んもなかったとよ」

      訳:(母が倒れるまで、ホント体調はどこも悪くなかったよ、

         それなのに...(・_・、))

 

僕も、最初はじーさんのこの言葉を信じていました。でも嘘だったのです。

 

実家のお隣に住んでいるEさんは、母ととても仲が良かったみたいで、実家を片付け中に「ちょっとよかね?」(ちょっと家に上がっていい?)と言って、色々と話しを聞かせてくれます。(正確にはしゃべりまくります(~_~;))

 

Eさんが教えてくれました。

実は、母は倒れる1か月ほど前から、頭が痛い痛いと言っていたそうです(;゚д゚)ェ…

 

じーさんも、当時、それを聞いていたはずです。

しかし、じーさんは、記憶がないため、色んな人に、「どこも悪くなかった」と

言ってただけだったのです。

 

元々じーさんは、家族の事を心から心配するような人ではありませんでした。

 

たぶん

じーさん:「頭が痛かとや~、ひどかとや~」

     訳:(頭がいたい?メチャクチャ痛いの?)

   母:「うーん。大丈夫」

じーさん:「そうや~」

     訳:(そうね~)

こんな程度の会話だったんでしょう。

 

じーさんの性格が違っていて、かつ、認知症になっていなければ、

「毎日痛いなら、そりゃいかん、(||゚Д゚)病院行こう!」

じーさんが車で病院へ連れて行ってくれたはずです。体は超丈夫なので。

 

一か月前なら、もしかしたら、まだ助かる余地があったのかもしれません。

でもこの結果です。

そしてじーさんは、何も知らない(覚えていない)と....(>_<)

 

じーさんが、しっかりしてないからの結果なのかもしれないのに、被害者の様に

立ち振る舞う、じーさん....。まぁ認知症になったのはしょうがない事ですが...。

 

今更、何を言ってもしょうがないですが、後日談としてこのような話があります。

 

でも、母が長期入院などになっていたら、それはそれで、母とじーさんのダブル介護と

なっていた訳で、僕は今より大変な事になっていたはずです。

 

母は、一人息子である僕に多大な負担を掛けない様にして、この道を選んだのかもしれません....。

 

そうそう、元々は散歩の話でした!

ちょっとしんみり系になってしまったので、話を変えましょう(*゚▽゚)ノ

 

 

住宅街を歩きながら、じーさんは、これもいつも言います(聞き飽きた(+_+))

 

じーさん:「東京は、どこも似とるから全然分からん(?_?)」

      訳:(東京の住宅街はどこも似通っていて、区別がつかないよ~)

 

僕には、意味が良く分からないのですが、実家の周りは、土地に起伏があるけど

東京は確かに平地が多いのでそう言ってるんだと思います。

 

でも、ここにだって川も橋も神社もあるし、何もない所じゃないのになぁ。

まぁ、ほっときましょう(~_~;)

 

スーパーにやってきました。

 

買い物をして、レジで精算をすまして、サッカー台(買った品物を袋詰めする台)で、袋に入れます。

魚を買ったので、ビニール袋に入れます。

じーさんの目の前にビニールのロールがあるので

 

   僕:「そのビニールを取ってくれる (^∧^)タノンマスー」

 

じーさん:「('-' )('-' )('-' )('-' )('-' )...」

 

僕の心:「もしかして取り方が分からない?(・へ・)

     ペタッと張り付いていて、どこから引っ張るのか

     分からないのかな(゚ペ)?」

 

   僕:「こうやって取るんだよ」

 

じーさん:「('-' )('-' )('-' )('-' )('-' )...」

 

じーさん:「横の、オレンジ色の丸いものはなんね(・_・?)」

 

   僕:「あれは、ビニールが開けにくい時に

      手を濡らすために使うヤツだよ(。・ω・)ノ゙ 」

 

スーパーを出てから、

 

   僕:「ホント、母さんにまかせっきりで、何もしたことがない箱入りだね~」

 

と、つい言ってしまって

 

   じーさん:「(  ̄っ ̄)ムゥ」 あっ怒った(~_~;)

 

 

じーさんを、散歩に連れだすのは、太陽にあたってのじーさんの気分転換と、運動が目的ですが。

もう一つ目的があります。家の周りくらいなら、何度も歩いてれば少しは道を覚えるかもというチャレンジです。

 

我が家が近づいてきました。

 

   僕:「もう近いけど、家はどこだか分かる?(・・)」

 

じーさん:「(・_・?)ココ!」

 

   僕:「違う(T-T)」

 

覚えるまでには、まだ時間がかかるようです(+_+)

 

★今日のひとこと★

じーさんには、何を話しても速いものでは15秒後には、忘れてしまいます。忘れるというか、そんな話は何もなかった事になります。

「さっき言ったよ」と、言っても「聞いてない!」となります。

何を言っても無駄であるという事が、どれだけの無力感を感じるか...(T-T)

そして記憶力というのが、どれだけ生活する上で大事なものかを思い知らされました。

 

ちなみに本文に出てきた実家のお隣のEさんは、母が倒れた時に、じーさんをメチャクチャ助けてくれた恩人です。じーさんは、自分は何もしない(出来ない)のに、とにかく助けてくれる人が現れます。ホント強運の持ち主です(+_+)